簿記3級の試験を合格する上で最も重要になってくるものが仕訳です。
仕訳問題を正確に素早く解答していくためには、勘定科目を適切に把握しておく必要があります。
しかし、勘定科目の種類は沢山あり、なかなか覚えられないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、簿記3級の勘定科目を一覧にまとめて簡単な覚え方も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください!
勘定科目一覧
会社は1年に1回、財政状態と経営成績を報告する必要があります。
財政状態の把握のために「貸借対照表」、経営成績を把握するために「損益計算書」を作成します。
貸借対照表は「資産」「負債」「資本」の3要素を使用し、損益計算書は「費用」「収益」の2要素を使用します。
「資産」「負債」「資本」「費用」「収益」を「簿記の5要素」といい、これらを適切に把握することが重要です。
貸借対照表(B/S)
資産とは
「資産」とは、所有するすべての財産のことをいいます。
この財産には大きく3つあり、現金などの「所有している金額」、建物などの「所有している物」、売掛金などの「金額を回収する権利」があります。
簡単な覚え方として、
○現金・当座預金などの「〜金」と金額を表すもの(返済義務があるものや資本は除く)
○建物・商品・貯蔵品などの「〜物」「〜品」と所有物を表すもの
○前払金・仮払金・未収入金などの「前払〜」「仮払〜」「未収〜」と回収権利を表すもの
は資産であると覚えておきましょう!
資産の勘定科目一覧
・現金:通貨及び通貨代用証券(他人振出の小切手・郵便為替証書・送金小切手)のこと
・当座預金 :当座預金口座(決済用銀行口座)にある金額のこと
・普通預金 :普通預金口座にある金額のこと
・定期預金 :定期預金口座にある金額のこと
・受取手形 :手形代金を回収する権利のこと
・受取商品券 :商品券と引き換えに現金を受け取る権利のこと
・電子記録債権 :電子記録債権(コンピュータ上で管理される債権)を回収する権利のこと
・建物 :店舗・事務所・倉庫などのこと
・土地 :建物のための敷地のこと
・車両 :営業用自動車などのこと
・備品 :建物・土地・車両以外の固定資産(パソコン・デスクなど)のこと
・貸付金 :金銭を貸し付けた場合、その金額を回収する権利のこと
・売掛金 :商品を掛け販売(代金を後で受け取り)した際の代金を回収する権利のこと
・小口現金 :小口現金制度(交通費等の支払いのために事前に一定額を渡しておき、使用したら補給をしていく制度)を採用している場合の小口現金の残額のこと
・前払金 :手付金(商品を受取る前に支払ったお金)を支払った場合の商品を受け取る権利のこと
・仮払金 :支払いを行ったがその内容や金額が未確定の場合の金額のこと
・未収入金 :商品以外の物品を後払いで販売した場合、代金を回収する権利のこと
・立替金 :代金を代わりに支払った場合の代金を回収する権利のこと
・従業員立替金 :当社の従業員に対して、代金を代わりに支払った場合の代金を回収する権利のこと
・差入保証金 :入居時に敷金を支払ったことにより、退居時に敷金を回収する権利のこと
・手形貸付金 :資金の貸付を行い、約束手形を受け取った場合、代金を回収する権利のこと
・役員貸付金 :当社の役員に資金を貸し付けた場合、その金額を回収する権利のこと
・従業員貸付金 :当社の従業員に資金を貸し付けた場合、その金額を回収する権利のこと
・繰越商品 :会社が期末に保有する商品の在庫のこと
・前払家賃 :翌期分の家賃を当期に前払いした場合、その役務を提供を受ける権利のこと
・未収家賃 :当期分の家賃が未収である場合、代金を受け取る権利のこと
・貯蔵品 :未使用の郵便切手や収入印紙などの一時的に保有している資産のこと
・仮払法人税等 :中間申告による法人税等の納付額のこと
・仮払消費税 :期中に支払った消費税のこと
・商品:分記法において、保有する商品のこと
負債とは
「負債」とは金銭を調達した場合、返済義務がある金額のことをいいます。
簡単な覚え方として、
○前受金・仮受金・未払金・預り金などの「前受〜」「仮受〜」「未払〜」「〜預り金」と返済義務を表すもの
は負債であると覚えておきましょう!
負債の勘定科目一覧
・借入金 :金銭を借り入れた場合、その金額を返済する義務のこと
・買掛金 :商品を購入したが代金を支払っていない場合、代金を支払う義務のこと
・支払手形 :手形代金を支払う義務のこと
・電子記録債務 :電子記録債務(コンピュータ上で管理される債権)を支払う義務のこと
・前受金 :手付金を受け取った場合の商品を引き渡す義務のこと
・仮受金 :預金口座に入金があったが、内容が不明の場合の金額のこと
・未払金 :商品以外の物品を後払いで購入した場合、代金を支払う義務のこと
・手形借入金 :約束手形を振り出して資金を借り入れた場合、資金の返済義務のこと
・預り金 :金銭を一時的に預かった場合の返済する義務のこと
・従業員預り金 :当社の従業員から金銭を一時的に預かった場合の返済する義務のこと
・所得税預り金:源泉徴収した所得税を納付する義務のこと
・社会保険料預り金 :源泉徴収した社会保険料を納付する義務のこと
・役員借入金 :当社の役員から資金を借り入れた場合、その金額を返済する義務のこと
・前受家賃 :翌期分の家賃を当期に前受した場合、役務を提供する義務のこと
・未払家賃 :当期分の家賃が未払の場合、代金を支払う義務のこと
・当座借越 :当座借越契約により生じた銀行への支払い義務のこと
・未払配当金 :配当金の支払義務のこと
・未払法人税等 :当期の法人税の税額のうち、当期末において未納付分を納付する義務のこと
・仮受消費税 :期中に受け取った消費税のこと
・未払消費税:仮払消費税と仮受消費税を相殺した消費税の納付義務のこと
資本とは
「資本」とは金銭を調達した場合、返済義務がない金額のことをいいます。
数が少ないのでそのまま覚えましょう。
資本の勘定科目一覧
・資本金 :株主から出資を受けた金額のこと
・繰越利益剰余金 :会社が稼いだ金額のこと
・利益準備金:会社の利益のうちの分配不能の金額のこと
損益計算書(P/ L)
費用とは
「費用」とは、繰越利益剰余金(資本)の減少要因のことをいいます。
簡単な覚え方として、
○減価償却費・法定福利費などの「〜費」とつくもの
○支払利息・支払家賃などの「支払〜」と支払いによる資本減少を表すもの
は費用であると覚えておきましょう!
費用の勘定科目一覧
・仕入 :商品を仕入れたことによる資本減少のこと
・給料 :従業員への労働対価として支払うことによる資本減少のこと
・水道光熱費 :水道・電気・ガス代で支払うことによる資本減少のこと
・旅費交通費 :出張費や交通費で支払うことによる資本減少のこと
・発送費 (支払運賃):商品販売での運送料の支払による資本減少のこと
・通信費 :郵便切手などの通信費用を支払うことによる資本減少のこと
・支払利息 :利息を支払うことによる資本減少のこと
・支払家賃 :家賃を支払うことによる資本減少のこと
・支払地代 :地代を支払うことによる資本減少のこと
・支払手数料 :手数料・仲介手数料を支払うことによる資本減少のこと
・固定資産売却損 :固定資産を帳簿価格(取得価格ー減価償却累計額)より低い価格で売却したことによる資本減少のこと
・修繕費 :収益的支出(原状回復・現状維持のための支出)による資本減少のこと
・法定福利費 :企業が負担した社会保険料こと
・租税公課 :固定資産税・印紙税などの税金を支払うことによる資本減少のこと
・貸倒損失 :貸倒れ(相手方の経営悪化や倒産などにより売掛金や貸付金が回収不可能となること)による資本減少のこと
・貸倒引当金繰入 :翌期に見込まれる貸倒損失を当期に費用計上した額のこと
・減価償却費 :当期の固定資産の価値減少を表す資本減少のこと
・売上原価 :売上の原価を表す勘定科目のこと
・雑損 :原因不明の現金不足による資本減少のこと
・法人税、住民税及び事業税 (法人税等):法人税等による資本減少のこと
収益とは
「収益」とは、繰越利益剰余金(資本)の増加要因のことをいいます。
○受取利息・受取家賃などの「受取〜」と受取りによる資本増加を表すもの
○償却債権取立益・固定資産売却益などの「〜益」と利益による資本増加を表すもの
は収益であると覚えておきましょう!
収益の勘定科目一覧
・売上 :商品を売り上げたことによる資本増加のこと
・償却債権取立益:前期以前に貸倒処理した金額を当期に回収したことによる資本増加のこと
・受取利息 :利息を受け取ることによる資本増加のこと
・受取家賃 :家賃を受け取ることによる資本増加のこと
・受取地代 :地代を受け取ることによる資本増加のこと
・固定資産売却益 :固定資産を帳簿価格(取得価格ー減価償却累計額)より高い価格で売却したことによる資本増加のこと
・商品売買益 :分記法において、商品を売買したことによる資本増加のこと
・雑益:原因不明の現金超過による資本増加のこと
その他の勘定科目
・現金過不足(仮勘定):現金に原因不明の過不足が発生した際の仮の勘定科目のこと
・減価償却累計額(資産の控除項目):減価償却による固定資産の減少額を意味する勘定科目のこと
・貸倒引当金(資産の控除項目):売上債権の貸倒見積額(売上債権の期末残高×実績率)を意味する勘定科目のこと
まとめ
勘定科目を適切に把握することは、簿記3級合格への第1歩です。
勘定科目をある程度覚えることができたら、仕訳問題や決算処理問題などの問題演習を繰り返し行いましょう。
知識を定着させることで簿記3級の合格はグッと近づきます!
合格に向けて、勘定科目の把握と問題演習を頑張ってください!
コメント