仕訳問題を正確に素早く解答していくためには、勘定科目を適切に把握しておく必要があります。
簿記2級は簿記3級に比べて難しい勘定科目が増えています。なかなか覚えられないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、簿記2級の勘定科目を一覧にまとめて簡単な覚え方も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください!
勘定科目一覧
会社は1年に1回、財政状態と経営成績を報告する必要があります。
財政状態の把握のために「貸借対照表」、経営成績を把握するために「損益計算書」を作成します。
貸借対照表は「資産」「負債」「純資産」の3要素を使用し、損益計算書は「費用」「収益」の2要素を使用します。
貸借対照表(B/S)
資産
負債
・仕掛品
・不渡手形
・営業外受取手形
・売買目的有価証券
・満期保有目的債権
・子会社株式
・関連会社株式
・その他有価証券
・建設仮勘定
・貯蔵品
・未決算
・特許権
・商標権
・ソフトウェア
・のれん
・ソフトウェア仮勘定
・リース資産
・別段預金
・繰延税金資産
・リース債務
・修繕引当金
・賞与引当金
・役員賞与引当金
・退職給付金引当金
・商品保証引当金
・繰延税金負債
資本
・資本準備金
・株式申込証拠金
・利益準備金
・新築積立金
・修繕積立金
・配当平均積立金
・別途積立金
・非支配株主持分
資産とは
「資産」とは、所有するすべての財産のことをいいます。
この財産には大きく3つあり、現金などの「所有している金額」、建物などの「所有している物」、売掛金などの「金額を回収する権利」があります。
資産の勘定科目一覧
・現金:通貨及び通貨代用証券(他人振出の小切手・郵便為替証書・送金小切手・配当金領収書・利払日の到来した公社債の利札)のこと
・仕掛品:サービスに関する費用の支払額を一時処理する勘定のこと
・不渡手形 :不渡り(満期日になっても代金が支払われない)となり、回収可能性が低い手形のこと
・営業外受取手形 :商品以外を売却したことにより受け取った手形のこと
・売買目的有価証券 :時価の変動により利益を得ることを目的とした株式・公社債のこと
・満期保有目的債権 :満期まで保有することを目的とした公社債のこと
・子会社株式 :支配することを目的として保有(発行株式の50%以上を保有)する株式のこと
・関連会社株式 :影響力を行使することを目的として保有(発行株式の20%以上50%未満を保有)する株式のこと
・その他有価証券 :上記に該当しない株式・公社債のこと
・建設仮勘定 :固定資産の建物の建設を依頼した場合における、完成前に支払った金額を処理する勘定のこと
・貯蔵品 :除却資産(事業で使わなくなった固定資産)に処分可能価格が見積もられる場合の資産のこと
・未決算 :保険金の受取額が不確定の場合に計上する勘定のこと
・特許権 :特許の独占的利用権を意味する資産のこと
・商標権 :商標の独占的利用権を意味する資産のこと
・ソフトウェア:会社が所有するコンピュータソフトのこと
・のれん:合併及び買収により取得した超過収益力のこと
・ソフトウェア仮勘定:ソフトウェアの製作を依頼した場合における、完成前に支払った金額を処理する勘定のこと
・リース資産 :ファイナンス・リース取引により取得した資産のこと
・別段預金 :受け取った申込証拠金を処理する勘定のこと
・繰延税金資産
負債とは
「負債」とは金銭を調達した場合、返済義務がある金額のことをいいます。
簡単な覚え方として、
○前受金・仮受金・未払金・預り金などの「前受〜」「仮受〜」「未払〜」「〜預り金」と返済義務を表すもの
は負債であると覚えておきましょう!
負債の勘定科目一覧
・返金負債 :リベート(一定期間に大量の商品を購入してくれた人に代金の一部を減額したり報奨金を支払ったりする)の見積もり金額のこと
・契約負債 :有償保証等を売り上げた等の契約をした際に、契約を履行する義務が生じること
・営業外支払手形 :商品以外を購入したことにより振り出した手形のこと
・リース債務 :ファイナンス・リース取引により発生したリース代金の支払い義務のこと
・修繕引当金:翌期以降に修繕が見込まれる場合の引当金のこと
・賞与引当金 :翌期に賞与の支払が見込まれる場合の引当金のこと
・役員賞与引当金 :翌期に役員への賞与の支払いが見込まれる場合の引当金のこと
・退職給付金引当金 :翌期以降に退職金の支払いが見込まれる場合の引当金のこと
・商品保証引当金 :翌期以降に商品の修理代が見込まれる場合の引当金のこと
・繰延税金負債
純資産とは
「純資産」とは金銭を調達した場合、返済義務がない金額のことをいいます。
純資産の勘定科目一覧
・その他有価証券評価差額金 :その他有価証券の時価評価額のこと
・資本準備金 :株式の発行により払い込まれた金額のうち資本金としなかった金額のこと
・株式申込証拠金 :申込証拠金に関する預り金を意味する勘定のこと
・利益準備金 :利益剰余金から配当を行う場合に積立が強制される金額のこと
・新築積立金 :将来の建物の建設に備えて社内留保した金額のこと
・修繕積立金 :将来の修繕に備えて社内留保した金額のこと
・配当平均積立金 :将来の配当に備えて社内留保した金額のこと
・別途積立金 :特定の目的はないが、社内留保した金額のこと
・非支配株主持分
損益計算書(P/ L)
費用 | 収益 |
・棚卸減耗損
・商品評価損 ・返金負債 ・契約負債 ・役務費用 ・役務原価 ・手形売却損 ・電子記録債権売却損 ・有価証券売却損 ・投資有価証券売却損 ・有価証券評価損 ・固定資産圧縮損 ・固定資産除却損 ・固定資産廃棄損 ・火災損失 ・研究開発費 ・特許権償却 ・ソフトウェア償却 ・支払リース料 ・修繕引当金繰入 ・賞与引当金繰入 ・役員賞与引当金繰入 ・賞与 ・退職給付費用 ・商品保証引当金繰入 ・商品保証費 ・創立費 ・開業費 ・株式交付費 ・為替差損益 |
・役務収益
・有価証券売却益 ・投資有価証券売却益 ・受取配当金 ・有価証券利息 ・有価証券評価益 ・国庫補助金受贈益 ・保険差益 ・負ののれん発生益 ・為替差損益 |
費用とは
「費用」とは、繰越利益剰余金(資本)の減少要因のことをいいます。
簡単な覚え方として、
○減価償却費・法定福利費などの「〜費」とつくもの
○支払利息・支払家賃などの「支払〜」と支払いによる資本減少を表すもの
は費用であると覚えておきましょう!
費用の勘定科目一覧
・棚卸減耗損
・商品評価損
・役務費用
・役務原価 :サービス業における売上原価のこと
・手形売却損 :手形の割引料を示す費用のこと
・電子記録債権売却損 :電子記録債権の割引料を示す費用のこと
・有価証券売却損 :売買目的有価証券を帳簿価格より低い価格で売却した際の収益のこと
・投資有価証券売却損 :その他有価証券を帳簿価格より低い価格で売却した際の収益のこと
・有価証券評価損 :売買目的有価証券の時価評価損のこと
・固定資産圧縮損 :国庫補助金を受け取った際の固定資産の取得原価を減額するために計上する費用のこと
・固定資産除却損 :固定資産を除却(事業で使うことをやめる)した際に計上する費用のこと
・固定資産廃棄損 :固定資産を廃棄した際に計上する費用のこと(廃棄時の帳簿価格+廃棄に要した費用)
・火災損失 :滅失した資産の帳簿価格が保険金の受取額よりも大きい場合の費用のこと
・研究開発費 :研究開発を行うために使用した金額を処理する勘定のこと
・特許権償却 :特許権の償却費用のこと
・ソフトウェア償却 :ソフトウェアの償却費用のこと
・支払リース料 :オペレーティング・リース取引におけるリース料の支払費用のこと
・修繕引当金繰入 :修繕引当金を計上する際の費用のこと
・賞与引当金繰入 :賞与引当金を計上する際の費用のこと
・役員賞与引当金繰入 :役員賞与引当金を計上する際の費用のこと
・賞与 :賞与を支払った場合の費用のこと
・退職給付費用 :退職給付引当金を計上する際の費用のこと(退職給付引当金の計上の場合のみ、〜引当金繰入ではなく、〜費用となる)
・商品保証引当金繰入 :商品保証引当金を計上する際の費用のこと
・商品保証費 :商品の修理代金を支払った際の費用のこと
・創立費 :会社の創立に要した費用のこと
・開業費 :会社の設立後、営業開始までに要した費用のこと
・株式交付費 :増資時に生じる株式発行費用のこと
・のれん償却:のれんの償却費用のこと
・為替差損益
収益とは
「収益」とは、繰越利益剰余金(資本)の増加要因のことをいいます。
○受取利息・受取家賃などの「受取〜」と受取りによる資本増加を表すもの
○償却債権取立益・固定資産売却益などの「〜益」と利益による資本増加を表すもの
は収益であると覚えておきましょう!
収益の勘定科目一覧
・役務収益 :サービス業における売上のこと
・有価証券売却益 :売買目的有価証券を帳簿価格より高い価格で売却した際の収益のこと
・投資有価証券売却益 :その他有価証券を帳簿価格より高い価格で売却した際の収益のこと
・受取配当金 :配当金を受け取った際の収益のこと
・有価証券利息 :クーポン利息(公社債を保有している場合に受取る利息)を受け取った際の収益のこと
・有価証券評価益 :売買目的有価証券の時価評価益のこと
・国庫補助金受贈益 :国庫補助金を受け取った際の収益のこと
・保険差益 :滅失した資産の帳簿価格より保険金の受取額が大きい場合の収益のこと
・負ののれん発生益 :受入純資産額が合併対価を超過する場合の差益のこと
・為替差損益
その他の勘定科目
・保証債務見返 :債務の保証を行った際の備忘記録であり、借方に記載する
・保証債務 :債務の保証を行った際の備忘記録であり、貸方に記載する
・その他有価証券評価差額金
・法人税等調整額
・支店
・本店
まとめ
勘定科目を適切に把握することは、簿記3級合格への第1歩です。
勘定科目をある程度覚えることができたら、仕訳問題や決算処理問題などの問題演習を繰り返し行いましょう。
知識を定着させることで簿記3級の合格はグッと近づきます!
合格に向けて、勘定科目の把握と問題演習を頑張ってください!
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